年商3億円の建設業が5,000万円の短期運転資金を 調達した事例
契約書、資金繰表により返済原資を明確にすることが大切です。
ある建設業の社長様から、「資金繰りが厳しいが銀行に融資を申し込んでも相手にしてもらえない。」とのご相談がありました。銀行に対してどのようにアプローチしているのかをお聞きしたところ、「1億円の資金が必要なことをお伝えし、決算書と試算表を提出した。」とおっしゃいます。1億円を5年返済で借りた場合、年間2,000万円の返済が必要になります。
同社の決算書では500万円程度のキャッシュフローしかありませんので、決算書や試算表だけでは、逆に「返せない」ことを銀行に伝えたことになります。
まず1億円が必要な理由をお聞きしたところ、1.5億円の大型案件を受注したことにより、先出しになる原価部分がおおよそ1億円であるという回答でした。しかし、一方で回収条件をお聞きしたところ、工期は約1年で、着手時30%、中間で30%、完工時に40%とのことです。おおよその外注費の支払時期と入金時期を擦り合わせたところ、5,000万円の資金があれば十分にキャッシュが回ることが分かりました。
■ 社長のお話をお聞きしたうえで次の資料を弊所にて作成しました。
- 当該案件の原価の額や割合を明確にした売上原価表
- 5,000万円の資金を借入し、中間時に2,500万円、完工時に2,500万円を返済する資金繰計画表
■ 社長と一緒に銀行に訪問し資料を提出しました。売上原価表と資金繰計画表をお見せして、5,000万円が必要な理由を説明し、回収条件が明記されている契約書をお渡しして返済の確実性を示しました。
最終結果は、当方の申し出どおり、融資金額5,000万円、6ヶ月後に2,500万円、1年後に2,500万円という返済条件で承認を得ることができました。
本件のように、売上や利益と比較して大きな資金を借入する場合は、資金の使い道や金額の根拠、返済の方法や根拠を、必ず書面に落とし込んで説明することが重要です。