かんぽ生命から支払いを受ける特約還付金の取り扱い
こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水と申します。今回のコラムでは「かんぽ生命から支払いを受ける特約還付金の取り扱い」についてご説明致します。
かんぽ生命から支払いを受ける保険金の一種に、支払事由が「特約還付金」と記載された保険金があります。被相続人の相続発生に伴い、相続人の方がこの「特約還付金」の支払いを受けた場合、被相続人の相続財産として申告しなければならないのか、また、他の死亡保険金と同じように非課税の対象になるのかという疑問が生じます。
本コラムでは、この「かんぽ生命から支払いを受ける特約還付金の取り扱い」についてご説明させて頂きます。
特約還付金とは
保険契約は、主契約(定期保険、終身保険、養老保険)のみで契約する場合もありますが、様々なリスクに備えて、主契約(定期保険、終身保険、養老保険)+各種特約(オプション契約)の形式で保険に加入する場合もあります。この場合、保険料の支払いについては、主契約部分の保険料に加えて、特約部分の保険料も併せて支払うことになります。
特約還付金とは、主契約部分の消滅等に伴い、今まで支払ってきた特約保険料の積立部分の還付金のことを指します。従って、保険事由が発生したことに伴い保険金受取人に支払われるものではなく、主契約の消滅等に伴い、保険契約者に支払われる性質のものとなります。
相続税法上の取扱い
相続財産として申告すべきか否か
被相続人が特約還付金の支払いの起因となった保険契約の保険料を負担していた場合は、被相続人の相続財産に該当するため、特約還付金を相続財産として申告する必要があります。
非課税枠の適用の可否
相続税法基本通達3-7には、非課税の対象となる保険金は、被保険者の死亡を保険事故として支払われる死亡保険金に限られるとの記載がありますので、特約還付金は、被保険者の死亡を事由に支払われる性質のものではない為、非課税枠の適用はありません。
民法上の取扱い
特約還付金は、主契約部分の消滅等に伴い保険契約者に支払われる性質のものであるため、被相続人が保険契約者となっている保険契約の特約還付金の支払いがあった場合には、その特約還付金は、保険契約者である被相続人に帰属する財産となるため、他の財産(不動産や預貯金など)と同じように遺産分割協議が必要となってきます。従って、保険金受取人が単独で請求手続きが出来る死亡保険金とは手続きが異なってくる為、請求手続きをする際は注意が必要となります。
イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
執筆日:平成30年8月1日
※上記コラムの内容は執筆日現在の法令に基づいて記載されたものですので、その後の改正等により法律が変更されることがありますので、ご注意下さい。